近代哲学の祖「フランシス・ベーコン」の【知は力なり】という名言の意味・真意
どうもどうも( ´ ▽ ` )ノ
ともぴこです
今回からいわゆる「近代哲学」と呼ばれる哲学のお話をしていこうと思います。
その前の時代の哲学は【哲学を含めた全ての学問は、キリスト教神学に吸収された】と言われるほど、キリスト教のための学問でしたが、哲学の世界もルネサンスの影響を当然受け、自然科学や哲学も【脱神学化】していきます。
それが近代哲学です。
この記事→アウグスティヌスの思想を著作の「告白」の内容から学ぼう - はぎのともぴこの幸福論
◆近代哲学以前の時代背景
今日取り上げるのは、近代哲学の創始者と呼ばれる偉人「フランシス・ベーコン」です。
イギリスの名家生まれのお坊ちゃんで、23歳で国会議員になり、最後は大法官(日本で言えば衆議院議長)にまで出世したカリカリベーコンです。
それと、フランスの「デカルト」が近代哲学の創始者と呼ばれております。
さっきほど言った様に、時代はキリスト教が提示した理想の世界像や教義の信頼が揺らぎ始めていたので、人々は「次に何を信じるべきか?」アタフタしている時でした。
ベーコンやデカルトの時は、ルネサンスも全盛期は過ぎていましたし、キリスト教もビジネスですし、それこそ本当に「どうしよう?キリスト教も微妙なんだろ?ルネサンスもなぁ、、、」という時代でございます。
要するに、人々の拠り所がなかなかハッキリしない時代という事です。
当然人々だけでなく、学問の領域も同じです。
【全ての学問は、キリスト教神学に吸収された】と言われるぐらい、キリスト教神学マンセー状態で、キリスト教の教義を体系化する目的のために全ての学問はあったはずなのに、その土台が疑われ始めたのですから。
すると学問の世界でも「おい!どうするよ?」という感じになり、みんなが自由に好き放題かつ支離滅裂な意見を言い出す、カオスな展開に突入していきました。
結局、みんなが好き放題適当な事を言いまくるので「何が本当か分からん!!」となり、その絶望がどんどん定着し
「世界のことは何にも分かってないんじゃないか?」という有名な【懐疑論】という論評が生まれます。
偉大な現代の辞書にはこう載っています。
懐疑論→哲学で、人間の認識力を不確実なものとし、客観的、普遍的真理の認識の可能性を疑って、いっさいの判断を差し控える態度。懐疑主義。
分かり易く言えば「俺らの認識何かどうせ正しくないし、真理なんか分からないんだから、あーだこーだ言うのはやめて態度保留。つまり分からないから考えるの辞めようぜ!」というトンデモな意見ですww
つまり《真理を突き詰めるのを諦めた》とも言えます。
こんな時代もあったんですよー?
その諦め空気がプンプン漂ってる時に「ちょいと待った〜!!」と意見を発し、真理を改めて追究しようとしたのがベーコン&デカルトです。
ただ、この両者、どちらも時代の雰囲気に負けず真理を追究したのは同じですが、そのためのプロセスや結論は真逆過ぎて、本当に面白いです笑
水と油って感じです((((;゚Д゚)))))))
◆ベーコンが提示した「知は力なり」の本当の意味
そんな「真理を追究するの諦めんなよぉ〜!!!!!」と、松岡修造並みに熱い思いを持っていたベーコンが、標榜?提示?したコンセプトがこれです。
《知は力なり》
聞いた事がある人も多いかもしれません。
ベーコンはこのシンプルな言葉を自分の軸・コンセプトとして、真理を追究していきます。
《知は力なり》という言葉通り、確かに「知識や知恵は力だ。武器になる」という意味も多分に含んでいて、現代人の多くはそこしか知っていないケースが殆どなのですが、実はこの言葉、奥が非常に深く、色んな意味を内包しています。
《知は力なり》
意訳①
知識や知恵は力だ。武器だ。
だから真理を追い求め学べ。
意訳②
自然科学とそこから応用される技術開発は、人間に大きなメリット(健康・医療・仕事の円滑化など)がある。だから「知」を学べ。
という2つの意味が本来はあります。
何故か①はよく知られてるんですが、②は知られてません。
が、①はバカでも分かる当たり前の事なので、本来は②の方が大切なんですよね。
現代では【自然科学とそこから応用される技術開発は、人間に大きなメリットがある】というのは当たり前過ぎる話なんですが(IPS細胞とかネットとか)
当時は、この主張はかなり斬新でした。
当時「知」として捉えられていた学問は
哲学
神学
音楽
論理学
数学
音楽
天文学
などなどでしたが、これらの学問はせっかくの「知」を他のジャンルに応用するという発想はありませんでした((((;゚Д゚)))))))
「学問は学問だから」
「学問もキリスト教の教義のためだから」
それだけです。
なので、画期的な凄い発見をしても「それを応用して社会を発展させよう!!」という発想は、出てこなかったという事です。
それこそ塔の上のラプンツェルじゃないですが、当時の学者は研究室に籠り、一人でも黙々と「知」を獲得し、論文を発表し、賞賛され死んでいきました。学者の閉鎖された世界の中で。
ベーコンはそれを「もったいなぁぁ」と思い、【知を応用して技術開発して、どんどん社会を豊かにしてこうぜ!それが知の力だ!】というコンセプトを提示したワケです。
これは当時としては、かなり画期的な発想でした。
《学問の知を、社会に応用しよう》
というジャンルの平行移動的な発想です。
例えば
今までなら、プラトンのイデア論は学問やキリスト教の世界でしか活用していなかったけど、これを社会で応用してみようぜ。って感じです。
よく私が言ってる「具体⇆抽象」にもかなり似ていますね。
何はともあれ、ここがベーコンの優れた切り口でした。
【学問と社会の融合】です。
◆学問と社会の融合を目指したベーコン
ベーコンは「知」は人間の社会に応用されるべきだと考えていたので、
哲学や神学の様なモノよりも、もっと現実世界・社会で役に立つ「工学」や「力学」の様な実学系の学問にスポットライトを当てます。
工学が発達すれば技術が高まり、より輸送が簡単になったり、軍が強くなったりしますからね。
まぁ、哲学や論理学何かよりも「分かり易く社会の役に立てる学問」を推したということです。
そしてベーコンは、そんな現実的な男なので「学問の実現には、金銭的援助や社会的な力が必要だ」と考え、政治権力も得ようと哲学者&政治家として邁進していく事になるんです。
最初の方に書きましたが、最終的には大法官にまで登りつめましたからね。政治家としても凄腕です。
まぁとりあえず今日は、ベーコンは【世の中の発明や発見を学問と融合して、実用化し社会で応用するのが大切だ】と考えた、現実的かつ実践家な男だと理解して下さい。
それを一言で《知は力なり》と表現したワケです。
そしてベーコンは、その「知」の得方も事細かに書いてるわけですが、それはまた次回。
ではでは( ´ ▽ ` )ノ
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