アリストテレスの四原因説をどこよりも簡単に解説してみた
◆アリストテレスの【四原因説】
どうもどうも( ´ ▽ ` )ノ
ともぴこです。
今回は哲学コラムで、アリストテレスの【四原因説】について書いていきます。
前回書いたアリストテレスの「中庸」という記事とはうって変わって
この記事→アリストテレスが提唱した【中庸】とは何か?理解しよう - はぎのともぴこの幸福論
超難解な概念を紹介していきます。
この難解な概念をどこまで文字で説明できるのか?
どこまで皆さんに理解してもらえるのか?
どこまでアリストテレスに拒否反応を示せないでもらえるのか?
書く前から私自身もガクブルですが、日常や仕事にとても応用が効く概念なので、ぜひ最後までお付き合い下さい。
プラトンの【エロース・イデア論】以来のカオスな回になると思います笑
プラトン→哲学者プラトンの思想、愛(エロース)とは何かをどこよりも分かりやすく解説します - はぎのともぴこの幸福論
◆プラトンとアリストテレスの悲しい関係
そもそもアリストテレスはプラトンの弟子で、プラトンが開いた大学的なもの(アカデメイア)の生徒であり、卒業後は先生としてそこで教鞭を振るっていました。
なので「さぞプラトンの教えを崇拝し、さぞイデア論LOVEなのだろう」と予想できそうですが
プラトンが1番大切にしていた《イデア論》を真っ向から否定しました。
えぇ。そんな師匠の顔に泥を塗る男、それこそがアリストテレスです。
ただ、とんでもない弟子のようですが、哲学者は真理を追究する人ですから、先生の説だろうが恩人の説だろうが、気を遣わず「間違いは間違いだ」と言うのが正しい姿勢です。
そして、イデア論をただ否定したのでは子供の喧嘩ですので、それを覆す概念・考え方をきちんと提唱しました。
それが【四原因説】です。
えぇ。察せますよね?
この間話したイデア論でさえあれだけカオスだったのですから、それを超える概念である四原因説はさらにカオスだと........笑
ただざっくり言えば、スマートフォンが発明されたのは現代ですが「それならスマートフォンという概念もイデア界にあったのかい?」となってしまいます。
車も?
PSPも?
プラペチーノも?
「それは無理あるやろー!!」と言ったのがアリストテレスです(言われてみれば当たり前なんですけどね笑)
◆さあ、イデア論の復習です!
まず復習ですが、イデア論は
私達がA~Hカップまでの様々なサイズのおっぱい、乳首が黒かったりピンクだったりするおっぱいなど、多種多様なおっぱい見た時に、それらを全部「おっぱいだ!」と認識できるのは、イデア世界に【理想のおっぱい・おっぱいの本質】があり、そのイデア世界の概念を、私達は潜在意識下では知っているから「おっぱいだ」と認識できる。という事です。
もっときちんと言えば
腐ったリンゴ
新鮮なリンゴ
赤リンゴ
青リンゴ
切ってあるリンゴ
などなど、色んなリンゴを「リンゴだ!」と認識できるのは、イデア世界に【理想のリンゴ】が存在してるからだ。という事ですね。
つまりイデア世界っていう場所には《あらゆる物事の理想像や本質があるんだ、それを模範にしてるのが我々の現実だ》とお考え下さい。
こんな画像も紹介しましたね笑
◆四原因説
では本題に。
こんなイデア論を真っ向から否定したのが【四原因説】です。
じゃあ「四原因説って何ー?」と言いますと
【物事が生成し存在するに至るまでには、この4つの原因を必要条件としている】という概念です。
例えば
花はどうやって咲くのか?
家はどうやって立つのか?
ラーメンはどうしてできるのか?
これら全てが存在するためには4つの原因が必要であり、それを省くことは不可能だ。という事です。
この【四原因説】が凄いのは、カバー領域がラーメンや家などの制作物だけでなく「自然界にさえ通用する」と断言している点です。
まだ????が並んでいる人も多いと思いますが、歯を食いしばって付いて来て下さい笑
ここまではとりあえず「物事が存在するためには、4つの原因が必要なのねー!」ぐらいに思っておいて下さい。
話が前後してすみませんが、この話をしないと四原因説を解説できないので、やりますね。
さっきも言った様に、アリストテレスはイデア論を否定しています。
その理由は、イデア界自体が確認できないし(何を当たり前の事を笑)次々と発明される新しいモノが、予めイデア界にあったと説明するのはムリがあるからです。
それなら「イデア界がないなら、プラトンが探してるものの本質はどこにあるの?」という論争になります。
プラトンは【ものの本質=イデア】と言ったのですから、イデアを否定したらものの本質がなくなるワケです。
それが説明できなくて、みんな苦悩していたんですが、アリストテレスはとんでもない発想を持ちます。
《ものの本質?そこにあるやん。それそれ》
こう言いだしたのですww
イデア界に何かものの本質はなく【目の前の・現実のものそれぞれにある】と言い出したのです。
例えば「木の本質はイデア界に木という本質があり、、、」という主張を「木の本質は木だよ。それそれ。」と言い出したのですw
そしてそれを【形相(エイドス)】と読んだんです。
ここまでをまとめますよー!!
アリストテレスはプラトンが「イデア」と読んだものの本質を【現実世界のそれぞれのものにある】と主張し、それを《形相(エイドス)》と言い換えました。
ものの本質・イデア界
↓
ものの本質・そこにあるもの・形(形相)
になった、という事です。
◆形相をまずはマスターしよう!
さっきも説明しましたが、この【形相】こそが四原因説の中の1つの原因です。
ここら辺から混乱してくると思うので
【形相】という日本語が分かりにくい人は、面倒なので「かたち」と考えて下さい。
木の本質は木のかたち。
ラーメンの本質はラーメンのかたち。
ということです。
うーん。例えるなら
私たちがラーメンを作ったり食べたりする時に、頭の中に思い浮かべている「ラーメン」のイメージ図・かたちこそが形相、つまり本質ということです。
もちろん目の前のラーメンも形相です。
つまり形相(本質)は【それぞれの人の頭の中にイメージされている形or目の前のモノ】とも、噛み砕けば言えますね。
◆四原因説のメイン、質料(ヒューレ)
ただ、ここからが四原因説の難しいところで「形相がものの本質なのだから、形相が四原因説の土台だろう」と思ってしまうのですが、実はもう1つあるのです。
「形相(本質・かたち)に辿り着くまでには、その前段階、つまり原因がある」というのが、アリストテレスの主張なんです。
「え?形相の前の原因?」と、ここが多くの人を混乱させるんですが、残念ながらあるんです。
なるべく分かり易く説明しますね。
さっきお話した様に、形相(本質)とはそれぞれの人の頭の中にあるかたち、もしくは目の前のモノだというお話をしました。
ラーメンなら目の前のラーメンと、それぞれの頭の中にあるラーメンが形相です。
ただここで気付いて欲しいのは、ラーメンがラーメンというかたち(形相)になるには、そのための【素材】が必要だということです。
それはラーメンの麺、スープ、スープの出汁、メンマ、味玉などなどの【素材】のことです。
この【素材】があるからラーメン(形相)が出来上がるワケです。
そしてアリストテレスはこの素材の事を【質料(ヒュレー)】と呼びました。
質料だと理解しにくい人は【素材】だと思って下さい。
つまり、アリストテレスの主張は《物事ができる順番は質料(素材)→形相(本質)の順番だ》ということです。
これが四原因説の最初の2つで、
【質料(素材)→形相(本質)の順番で物事は作られ、これらの段階を踏まなければモノは存在しない】というのが大切なポイントです。
もっと例を出しますね笑
例えば
普通に立っている「木」が形相だとしたら「木」の質料(素材)は何だと思いますか?
種ですよね。
この場合
種(質料)
↓
木(形相)
になります。
じゃあ机が形相だとしたら、質料は何になりますか?
木ですよね?
この場合は
木(質料)
↓
机(形相)
になります。
何となく分かってもらえたかな?と思います。
モノ(自然物を含む)ができる順番は
質料→形相の順番ということです。
そして【いかなる質料も形相になりうる】というのも重要なポイントです。
さっき挙げた例で言えば、種は最初は質料ですが、木という形相になりうる。
木という質料も机や家になりうる。
ということです。
そしてこれがイデア論を否定する根拠になりました。
何故か分かりますか?
イデア論は「イデア界に本質がある」という静的な概念でしたが、アリストテレスの質料→形相の流れは「本質は現実の変化の流れで作られる」という概要だからです。
イデア論なら「じゃあ最初からイデア界にiPhoneっていう本質があったのかよ!」と言われればお手上げですが
アリストテレスの概要なら
金属・電気・ネット(質料・素材)
↓
iPhone(形相・本質)
と説明できるワケです。
もう読んでくれてる人がいなそうですねwww
◆これぞ四原因説!!!
そしてこれらの考えを応用して、アリストテレスは【四原因説】
つまり、物事が生成されるまでに必要な4つの原因を紐解きました(おせーよ!)
アリストテレスの主張した四原因説は
質料因(素材・材料)
↓
形相因(モノの本質)
↓
運動因(形相を作るための行動)
↓
目的因(形相を作るための目的)
というモノです。
具体的にしていきますね。
これを家を建てるプロセスにすれば
質料因(石・木)
↓
形相因(家そのもの、つまり家の設計図・イメージ)
↓
運動因(家を作るプロセス、土木工事など)
↓
目的因(そこに住む)
という感じです。
もし、これらの中の1つでも原因やプロセスが足りてないのなら【家は存在しない】という事です。
素材となる石や木がなければ、家はできません。
家のイメージ、つまり設計がなければ素材があっても作れません。
家の設計図を作っても、作り手・作るプロセスがなければ家は建ちません。
家が建っても建てた目的・理由がなければ、建てる意味がありません。
ということです。
つまり《この4つの原因を満たさなければ家が建つ可能性は極めて低い》ということです。
◆私たちの日常に落とし込むと
ラーメンに置き換えて自分でやってみて下さい笑
これを現代っぽく、仕事の企画やプロジェクトとかに応用すると
質料因(知識・情報・アイディア)
↓
形相因(プロジェクトの概要・成功までの設計図)
↓
運動因(実際の行動)
↓
目的因(新サービスを作るため、お客様に喜んでもらうため)
みたいな感じになります!
もっと平たく言えば
お!いいプロジェクト思いついたわ(形相因)
この知識とアイディアを使ってるんだよな(質料因)
よし、やろーー!!!(運動因)
あ、そうそうお客様のために始めたんだよね(目的因)
こんな感じです笑
一応アリストテレスは
質料因
↓
形相因
↓
運動因
↓
目的因
このステップが大切と言っていますが、これは後世に矛盾を指摘されているので、気にしないでください。
大切なのは【素材&設計図(かたち)&行動&目的】の4つの原因がないものは存在しない、うまくいかない。ということです
だから、もし「これから自分でビジネスやるぞー!!」と決意したとしても
ビジネスの土台の知識・強み(質料因)
ビジネスの設計図(形相因)
それを実現するための行動(運動因)
ビジネスをやる目的(目的因)
がなければ、ほぼ100%うまくいかない。ということですね。
逆にこの4つが整っていれば、うまくいく可能性が非常に高くなります。
実はこれコンサルの時によく使っていて、これを満たしてない人を見ると「ヤバイな」何て思っております。
まぁこんな感じで、2000年以上前の偉人の考えは、今でも応用が効くぐらい本質的です。
理解が難しいと思いますが、この記事より噛み砕いて話してるモノを読んだことがないので、ぜひしがみついて読み込んで下さい。
ではでは( ´ ▽ ` )ノ
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